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スティックコーヒー

戸棚の中にカフェオレスティックコーヒーが1本あった。

退院した時に持ち帰ったものだ。

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手術入院中は、例年になく寒い日が多かった。

そのせいか濃くて熱い珈琲が飲みたくて仕方なかったが

季節は6月。 自販機は冷たいものしか買えなかった。

インスタントコーヒーが嫌いだったし、売店にあると思って持って来なかったことに後悔の日々。

車椅子で売店に行けるようになっても2本入りのスティックコーヒーが1個あるだけだった。

リハビリ転院する前日に仲良しの同室の女性と薄味のスティックコーヒーを飲んだ。

お別れする寂しさと香りだけのコーヒーがやけにほろ苦かった。

数日前に別の部屋の女性や年の離れた女の子とも仲良くなったばかりだったから、

転院日に並んで見送られた時は、なんだかもう涙が出そうだった。

たった10日ほどの間で、やっと親しくなれたのに、お別れはいつも切ない。

車椅子のまま、古い病院へ介護車で移動。

途中で車窓から見かけた「よさこいソーラン」の衣装を着た若者の行列がとても眩しく感じた。


転院先には売店もない上に車椅子や松葉杖をついて熱いお湯をカップで運べないことに気づいた。

しかし、毎日こんなこと、忙しい看護師さんには頼めない。

とりあえず身内にスティックコーヒーを送ってもらい車椅子に慣れた頃、

片手運転しながらカップで湯を運び、初めて熱いカフェオレを飲むことができた。

こんなにスティックのカフェオレが美味しく感じたことはなかった。

転院先の病室も人に恵まれて、まるで親戚のおばさんと姪のように可愛がって頂いた。

退院日、みんなにエレベーターまでお見送りされて、お別れはやはり切ないものだった。



現在は自宅でドリップコーヒーを好きなだけおとして飲めるけれど、

一日も早く仕事に復帰すべく孤独な自己リハビリに励んでいる。

これからはきっと、スティックコーヒーを見るたび、

ひととき 友人、家族のように過ごした方達とのあたたかい日々を思い出すだろう。
Commented by surigon at 2016-07-21 09:00
体が不自由だといつもは当たり前にやっていたことが、どんだけ有り難いことなのか痛感しますよね。
あまり便利なことに慣れすぎるのもダメなのかな^^;
病院で出会った人とも、いつかまた偶然出会うことがあるかもしれませんよ。
その日の為に、今はリハビリ頑張ってくださいね^^
Commented by lenslife at 2016-07-21 21:07
TO surigonちゃま
ほんとうに不自由で、今だに痛感ちう!ダス(T▽T)
なのに当たり前なこともできない状態が終わるとまた、有難いことを
忘れてしまいそうだしね~。
下手すると、このまま元に戻れない可能性もあるので必死ですワ(;・∀・)
素人だし、自己リハビリって難しいですね。
痛くてもやらないとダメだし、やりすぎても悪いし、ビミョ~。
でも頑張ります!アリガトね。

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by lenslife | 2016-07-20 15:54 | 思うこと | Comments(2)

シャシンときどきツブヤキ。HNゆんぐデス。


by ゆんぐ